EXHIBITIONS

開通150周年記念 近代日本をつくった鉄道絵

2022.02.11 - 03.13

三代歌川広重 横浜海岸鉄道蒸気車図 1872(明治5)頃 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵

小林清親 新橋ステンション 1881(明治14) 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵

小林清親 高輪牛町朧月景 1879(明治12) 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵

三代歌川広重 六郷川蒸気車往返之全図 1871(明治4)頃 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵

二代歌川国輝 神奈川蒸気車鉄道之全図 1870(明治3) 公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵

 川崎浮世絵ギャラリーでは展覧会「鉄道開通150周年記念 近代日本をつくった鉄道絵」を開催する。出品作家は、小林清親、月岡芳年、三代歌川広重、二代歌川国輝ら。

 日本の近代化を象徴する鉄道の敷設は、富国強兵のスローガンのもと、殖産興業を推し進める明治政府にとって最も重要な国家事業とされ、早くから議論がなされた。1871(明治4)年には、神奈川・横浜間で試運転が始まり、1872(明治5)年に品川・横浜間での仮営業を経て、同年9月12日に新橋・横浜間の鉄道が開通した。

 明治天皇が臨席し盛大に行われた開業式典では、蒸気機関車を一目見ようと多くの人々が沿線に集まった。黒煙を吐きながら走る蒸気機関車は、海の蒸気船に対して陸の蒸気を意味する「陸蒸気」と称され、開通当時は約29キロメートルの区間を1日9往復し、所要時間は片道53分だった。

 鉄道に関する情報は人々の最大の関心事であり、当時ジャーナリズムの役割を担った錦絵においても、測量がはじまった1870(明治3)年頃から描かれ始め、1887(明治20)年頃まで盛んに描かれていた。

 2022年は日本の鉄道開通150周年という記念すべき年にあたり、本展では、選りすぐった約50点の錦絵で開通当時の陸蒸気の姿を振り返る。