藤原隆洋「Somewhere」

　自然の光景や現象から着想し、知覚を刺激する作品を制作するアーティスト・藤原隆洋による展覧会が開催されている。

　藤原は1969年愛知県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。これまで、観客参加型の大型立体作品やインスタレーションを中心に鑑賞者の感覚を刺激する、自由で独創的な造形方法による作品を発表してきた。主な展覧会に、「Nuit Blanche 2008」（トロント・イートンセンター、2008）、「六本木アートナイト」（六本木ヒルズ森タワー、2008）など。

　近年は、滝や霧などの自然や自然現象からインスピレーションを受けた作品を展開。その作品は自然そのものの再現ではなく、心を動かす自然の美がつくり出されるメカニズムの考察を経て、人為的な「現象」として再構築されたものだ。

　本展は、新作インスタレーション《In the Darkness》と《Under the Surface》の2点をメインに構成。元発電所を活用した美術館の大空間の暗闇に現れ、知覚を揺さぶる作品群は、周囲の自然を異なるかたちで見せてくれるだろう。