ART WORDS

イタリアン・ポップ

Italian Pop

 1960年代初頭、イタリア・ローマを中心に興ったポップ・アートの動向。アメリカのポップ・アートやフランスのヌーヴォー・レアリスムの流れを受けた作家たちが、マスメディアや消費文化、ルネサンスから20世紀美術までの芸術作品のイメージを作中に導入し、イタリア独自のポップ的傾向として展開させた。イタリアン・ポップが台頭するきっかけとなった展覧会は、60年にピエール・レスタニ―が企画した「ローマの5人の画家」展である。同展にはマリオ・スキファーノ、フランコ・アンジェリ、ターノ・フェスタらが参加し、レスタニーは彼らの作品をヌーヴォー・レアリスムとネオ・ダダとの関連で考察しようとした。

 その後、参加作家のひとりであるスキファーノはコカ・コーラのロゴを画面に描き込んだウォーホル風の絵画作品を制作し、イタリアにおけるポップ・アートの第一人者となる。そのほかの代表的な作家は、路上のポスターを引き剥がしてキャンバスに張り付ける「デコラージュ」の手法がヌーヴォー・レアリスムとの関連をうかがわせるミンモ・ロテッラ、コミック風のイメージを明快な線描で描いたヴァレリオ・アダミなど。明確な理念をもつ運動体ではなかったが、ローマのポポロ広場に位置する2つの画廊、タルタルーガ画廊とサリータ画廊がイタリアン・ポップの傾向にある作家たちの拠点となり、「ポポロ広場派」なるグループをつくりあげた。

 また、アルテ・ポーヴェラの作家とされるミケランジェロ・ピストレットやピーノ・パスカーリの一部の作品もポップと評されることがある。

文=中島水緒

参考文献
『イタリアの叛乱 アートが生活をのみこんだ。イタリアンポップとその時代』(高見堅志郎、神崎洋一監修、フジタヴァンテ、1992)
『アルテ・ポーヴェラ 戦後イタリアにおける芸術・生・政治』(池野絢子、慶應義塾大学出版会、2016)