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美学校

Bigakko

 1969年に現代思潮社によって「現代思潮社企画」として創立された学校。ロゴデザインは講師を務めた赤瀬川原平が行っている。初年度は中村宏と中西夏之による実技指導と今泉省彦による講義から始められた。そのほか創立時の講師陣には、美術家では加納光於、赤瀬川原平、松澤宥、菊畑茂久馬、小畠廣志などがおり、ほかにデザイナーの木村恒久、舞踊家の笠井叡、映画監督の鈴木清順、音楽家の小杉武久、作家の澁澤龍彦、劇作家の唐十郎などの錚々たる芸術家が集っていた。創立時には新宿区若葉町に校舎が構えられていたが、その翌年の70年に現在の神保町の校舎へ移転し現在に至っている。

 その後も路上観察で知られる赤瀬川の「考現学」の開講や在校生による展覧会「ギグメンタ」の開催などの活動を積極的に行う。2000年代以降は、昭和40年会周辺のアーティストたちやChim↑Pomや中ザワヒデキらも積極的に関わるようになり、たとえば卯城竜太が講師を努めた「天才ハイスクール!!!!」からは多くの若手作家が巣立った。また美術以外にも久住昌之のマンガ的視聴覚室、サウンド/視聴覚講義、DJトレーニング、演劇講座など、現在でも多様な講座を開いている。そのように美学校は、日本で芸術を志す若者たちに対して、美大に進むわけでもなく独学で学ぶわけでもないキャリア形成の選択肢として独特なポジションを獲得しており、その需要は現在も決して衰えてはいない。

文=原田裕規