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オプ・アート

Op Art

「オプティカル(視覚的/光学的)・アート」の略称。この用語は1964年、彫刻家ジョージ・リッキーによるニューヨーク近代美術館のキュレーター、ピーター・セルツとウィリアム・C・サイツとの対談内の発言、および同年『タイム』誌による記事「オプ・アート──眼を攻撃する絵画」(1964年10月23日号)において取り上げられた。オプ・アート(ポップ・アートに掛けられている)は、緻密に計算された形態や色彩によって、鑑賞者の視覚と直接的に交流し、点滅、振動、幻視などの錯視効果を引き起こす作品を指す。こうした作品群は1965年、ニューヨーク近代美術館で開催されたサイツ企画の展覧会「レスポンシヴ・アイ(応答する眼)」において一躍脚光を浴びる。

 サイツは1920年代後半にバウハウスで視覚表現および色彩理論の指導をしていたジョセフ・アルバースの思想、その正方形の絵画をオプティカルな絵画の先駆とし、それを「知覚的抽象」であると説明した。強い視覚的イメージに依拠するオプ・アートは、商業デザインや大量生産品へと流用され、またロザリンド・E・クラウスやトーマス・ヘスらからのように「視覚にのみ訴える」との批判もなされている。

 しかし同時に、スーラによる光と色彩の理論、モンドリアンやマレーヴィッチの抽象画、そして抽象表現主義やハードエッジ、ミニマル・アートとの関連性が広く指摘される。その開拓者にはヴィクトル・ヴァザルリ、ブリジット・ライリー、ヤーコヴ・アガム、ヘズス・ラファエル・ソト、フランソワ・モルレらが挙げられる。

文=中尾拓哉

参考文献
William C. Seitz, The Responsive Eye, New York: The Museum of Modern Art, 1965
「オプ・アートの出現と可能性」(『美術手帖』美術出版社、1965年5月号)
「1950s-2000s OPTICAL ECSTACY 決定版 オプ・アートの快感」(『美術手帖』美術出版社、2001年7月)