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柳幸典

Yukinori Yanagi

 柳幸典は1959年福岡県生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修了後、イエール大学大学院美術学部彫刻科修了。1990年代初頭より、色砂でかたどられた国旗が蟻の巣づくりによって侵食されていく「ザ・ワールドフラッグ・アント・ファーム」シリーズを発表。越境、ボーダレスといった世界の状況を崩れていく国旗のイメージで表現したこの作品をはじめ、天皇制、憲法第9条、大東亜共栄圏といった様々な主題を持つ作品を通して、政治的・社会的問題に取り組んできた。

 92年に直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム(当時)の開館を記念した個展に招待された際、銅の精錬所の遺構がある犬島と出合い、95年「犬島プロジェクト(当時)」を着想。尾道市百島の廃校を活用し、柳幸典と協働者たちによる創作活動を通して離島の創造的な再生を試みるアートセンター「アートベース百島」のディレクターを務める。2008年には、明治の近代産業遺産と、自然エネルギーの技術、それらを活用した三分一博志の建築、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフとした柳の作品を融合させた美術館「犬島精錬所美術館」を完成させる。

 93年にイエール大学フェローシップ美術学部優秀賞と第45回ヴェネチア・ビエンナーレアペルト部門、95年に第6回五島記念文化財団美術新人賞を受賞。現在は、広島県を拠点に活動する。主な個展に「柳 幸典~ワンダリング・ポジション」(BankART Studio NYK、神奈川、2016)。