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2024.2.18

アートで伝えるパレスチナの歴史といま。「フロム・パレスチナ・ウィズ・アート」の取り組み

パレスチナのアーティストや作家によるアートを集めた「フロム・パレスチナ・ウィズ・アート」が、ロンドンのP21ギャラリーで開催されている。作品を通してパレスチナの人々の暮らしとともに、彼らが置かれている状況をダイレクトに伝えるエキシビションとなっている。会期は3月2日まで。

文=坂本みゆき

ギャラリー1階の展示風景より
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アートと文化を通してパレスチナを知るプラットフォーム

 20人の作家たちの作品を並べる「フロム・パレスチナ・ウィズ・アート」が初めて公開されたは2022年の第59回ヴェネチア・ビエンナーレ・アートにおいてだった。10万人以上が訪れるほどの大きな反響を呼び、その後2023年2月にはローマでも巡回展を行っている。今年はロンドンを皮切りにイギリス各地でエキシビションを行いたいとしている。ロンドンでの会場となっているP21ギャラリーは、アラブ諸国の現代アートや文化が専門だ。

 「『フロム・パレスチナ・ウィズ・アート』の第一の目的はパレスチナのアートと文化の素晴らしさを、これまでそれらにあまり触れたことがない西洋の人々に知ってもらうことでした」とキューレターを務めるファイサル・セール氏は語る。セール氏は2018年にアメリカのコネチカット州にオープンしたアメリカで最初の同国の歴史や遺産を展示、紹介するパレスチナ博物館の設立者でエグゼクティブ・ディレクターでもある。

細かな刺繍で飾られた、民族衣装も展示されている

 「同時に75年以上も続く過酷な占領下におけるパレスチナ人の権利の剥奪、不公正、そして厳しく耐え忍ぶ生活の様子を伝えるプラットフォームとしての役割も果たしています。残念ながら多くの主要メディアはパレスチナ人を否定的に描く傾向があることは否めません。そのなかで、この展示がパレスチナ人の人間性と豊かな文化表現を示し、報道によって広められた誤解を解き、パレスチナ人がこれまで経験してきた歴史への深い理解に結びつけていけたらとも考えています」。 

パレスチナの厳しい日常を伝える