• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が開幕。バスキアと日…
2019.9.20

「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が開幕。バスキアと日本の関係性とは?

活動期間はわずか10年。その間に2000点を超えるドローイングと1000点以上の絵画作品を残したジャン=ミシェル・バスキア。その日本初大規模展覧会「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開幕した。

 

展示風景より Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
前へ
次へ

 活動期間はわずか10年。1980年代のアートシーンに衝撃を与え、いまなお世界的な人気を誇るジャン=ミシェル・バスキアの日本初大規模個展が、森アーツセンターギャラリーでついに開幕した。

会場入り口

 バスキアの人生は、1960年から88年までの28年。この短い人生で、3000点を超えるドローイングと1000点以上の絵画作品を残したバスキアは、とくに没後、それも21世紀になってから、著しい評価の上昇が見られるアーティストだ。

 それを象徴する出来事として、2017年には前澤友作が約123億円という高額で作品《Untitled》(1982)を落札。これはアメリカ人アーティストのオークションレコードとしていまも破られていない。

ジャン=ミシェル・バスキア 無題 1982 Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.Licensed by Artestar, New York

 また18年には、パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンでそのキャリアを網羅する回顧展が開催され、同時開催のエゴン・シーレ展とともに注目を集めた。

 今回、日本初の大規模個展となる本展「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」は、世界中でバスキアの展覧会を企画してきたディーター・ブッフハートがキュレーションを担当。会場には、世界各地のプライベート・コレクションから集めた絵画やオブジェ、素描など約130点が並ぶ。

展示風景より Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

 展覧会の核となるのは、バスキアと日本の関係性だ。バスキアが生きた80年代は、日本がバブル経済へ向かう好景気の時代。ソニーのウォークマンや、マンガを通じて日本に愛着を持っていたというバスキアは、82年秋に初来日し、翌年には三宅一生のモデルとして再来日する。同年、日本における初個展を東京のアキラ・イケダ・ギャラリーで開催して以降、87年までの間に合計6つの個展と9つのグループ展が行なわれた。この回数は、当時の日本におけるバスキア人気を物語るものだと言えるだろう。

展示風景より Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

 こうした日本との関係は、バスキアの作品制作にも影響を及ぼした。それは本展出品作でも確認することができる。

 例えば黄色と青のコントラストが印象的な《オニオンガム》の右上には「MADE IN JAPAN」の文字が書かれている(なお本展覧会タイトルはここから取られたという)。当時、質の高い電化製品や、オモチャなどに書かれた日本製を意味していた「MADE IN JAPAN」の印は、バスキアが時代性を巧みに取り入れていたことの裏付けでもある。

展示風景より、ジャン=ミシェル・バスキア《オニオンガム》(1983) Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.Licensed by Artestar, New York

 また日本経済の象徴でもある「¥(円マーク)」や「YEN」という単語を、バスキアはしばしばキャンバスの中に描きこんだ。こうした影響について、ブッフハートは「この展覧会を通じて、バスキアと日本の関係の深さ、また日本文化の西洋文化への影響を感じられるでしょう。バスキアは日本に魅了されていたのです」と語る。

展示風景より、左からジャン=ミシェル・バスキア《偽り》《ニュー》(ともに1983) Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat.Licensed by Artestar, New York

 本展は、こうした日本との関係性だけでなく、「自画像」「文字」「カートゥーン」「ドローイング」など、様々な角度からバスキアの姿を見ることができる。

 約130点の作品を通し、バスキアのアーティスト人生の一端に触れてみてはいかがだろうか。

展示風景より Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
展示風景より Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
展示風景より、ジャン=ミシェル・バスキア《無題(ドローイング)》(1986) Collection of Larry Warsh Artwork © Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York