2020.7.13

英政府が文化芸術に2100億円の追加援助。ジョンソン首相「劇場や美術館は国にとって心臓の鼓動」

文化芸術セクターにおける新型コロナウイルス感染症の危機対策として、イギリス政府が15.7億ポンド(約2100億円)の緊急支援パッケージを提供することを発表した。

イギリス・ロンドン (C) Pixabay

 長引く新型コロナウイルス感染症の危機対策として、イギリス政府が15.7億ポンド(約2100億円)の緊急支援パッケージを文化芸術セクターに提供することを発表した。

 過去最大規模となる今回の支援対象は、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの博物館、美術館、劇場、ホール、独立系映画館、文化遺産など。国から助成金や融資を受けることが可能であり、パンデミックで大きな打撃を受けたイギリスの文化芸術セクターが活動を再開していく上でのライフラインや、フリーランスのアート関係者の雇用支援にもつながると予想されている。

 ボリス・ジョンソン首相はこの緊急支援パッケージについて、「劇場や美術館は我が国にとって心臓の鼓動のような存在であり、今回の資金援助によって、将来の世代のために文化セクターを守ることができれば」とコメントしている。

 なおイギリスでは、今年3月にアーツ・カウンシル・イングランド(ACE)は文化支援策として1億6000万ポンド(約212億円)の緊急資金を提供することを発表。今回のパッケージについて、ACEの最高経営責任者であるダレン・ヘンレイは、「この決定は、我々のセクターの質、その範囲、そして国全体にあるコミュニティにおけるそのルーツに対する大きな信任投票だ」と述べている。

 支援内容の詳細はまだ明らかにされていないが、ヘンレイは、「政府は、この資金がコロナウイルスの世界的流行のなかで、文化組織を支援することに集中することを明確にしている」とし、「豊かな文化的生態系全体の組織に投資することで、この資金はそれらの組織で働く人々を支援するのに役立つだろう」と付け加える。

 なお、イギリスにおける新型コロナウイルス感染拡大の緩和により、美術館や博物館も再開しつつある。3月中旬より休館していたナショナル・ギャラリーとロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは、それぞれ7月8日と9日に再開した。

 テート4館は27日に再開を予定しているいっぽう、大英博物館やヴィクトリア&アルバート博物館はまだ再開日を発表していない。