舞踊団「Noism」が存廃を検討。新潟市の財政事情を受け、市長が8月中に判断へ

2004年より新潟を拠点に活動を続けてきた、日本唯一の劇場専属舞踊団「Noism」。演出振付家・舞踊家の金森穣が芸術監督を務めるこの舞踊団の活動が現在、市によって存廃を検討されていることがわかった。

Noism15周年記念作品『Fratres Ⅰ』 Photo by Kishin Shinoyama

 「Noism」とは2004年、新潟市の文化施設「りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館」が、演出振付家・舞踊家の金森穣を舞踊部門芸術監督に迎えて設立した劇場専属舞踊団だ。

 公立ホールが舞踊家を年間雇用し、創作環境を提供するという劇場専属舞踊団の取り組みは、設立当初から注目を集めてきたが、その「Noism」が現在、市によって活動の存廃を検討されていることがわかった。

 その背景には2つの理由がある。まずは、文化政策に力を注いだ篠田昭前新潟市市長が昨年退任し、新たに中原八一が市長に就任したことだ。Noismはこれまで3年ごとに活動期間を更新していたが、新市長のもとに活動の継続を判断するとして、1年間のみの延長となった。

 そして2つ目は、新潟市の財政事情の悪化。2007年の政令指定都市への移行から約10年間で、市の基金は10分の1にまで減少し、「水と土の芸術祭」をはじめ数々の文化事業が幕を引いた。

Noism15周年記念作品『Fratres Ⅰ』 Photo by Kishin Shinoyama

  「Noism」の運営予算の内訳は、市の補助金が34パーセント、公演収入が36.6パーセント、そして新潟市外からの助成、補助が29.3パーセントとなっている(2018年度)が、市の補助金としては年間約5000万円が「Noism」の運営に充てられていたという。

 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館の軸は「演劇」「音楽」、そして「舞踊事業=Noism」の3部門だが、仮にNoismは継続しないとなった場合も、市の補助金がそのまま浮くわけではなく、他のかたちで文化事業が続けられる可能性もあるだろう。 新潟市は、Noismの2020年9月以降の活動継続については、今年8月末までに判断するとしている。

Noism15周年記念作品『Fratres Ⅰ』 Photo by Kishin Shinoyama

 これまでに、新潟では231の公演と127のワークショップ、市外では185の公演と35のワークショップ、そして海外11ヶ国21都市で53公演の公演と7のワークショップを行い、数々の受賞歴もあるNoism。

 市民からNoismに寄せられたアンケートでは、「この15年を簡単に捨てないでいただきたい」「(Noismの活動を通して)政令指定都市であることによる(都市としての)文化性の萌芽をさらに継続して結実させていくことを願わずにはいられない」「Noismが感じさせてくれる世界への扉を、それでもなお、日本に暮らすということのチャレンジの心を、未来の子供たちにもしっかりと残しておきたい」など、存続を願う声が多数上がっている。

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