2021.2.27

ピピロッティ・リストの大規模個展が京都国立近代美術館で開催へ。初期作から最新作までを紹介

スイスを拠点に国際的に活躍するアーティスト、ピピロッティ・リストの初期作から最新作までを紹介する個展「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」が、京都国立近代美術館で開催される。会期は4月6日〜6月13日。

ピピロッティ・リスト 4階から穏やかさへ向かって 2016 4チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/ベッド、枕(6分20秒、7分3秒、8分11秒、8分11秒) オーストラリア現代美術館での展示風景 Photo by Ken Leanfore
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 ヴィデオ・インスタレーションの先駆者として知られるアーティスト、ピピロッティ・リスト。その大規模個展「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」が、京都国立近代美術館で開催される。会期は2021年4月6日〜6月13日。

(免罪)ピピロッティの過ち 1988 シングルチャンネル・ヴィデオ(11分18秒)

 ピピロッティ・リストは1962年、スイスのザンクト・ガレン州グラブス生まれ。幼少期から自分の名前が好きではなかったリストは、大学時代にこれまでの愛称「ロッティ(本名のシャルロットに由来)」と『長くつ下のピッピ』の主人公の名前「ピッピ」を組み合わせて、新たな名前と人格を持つ「ピピロッティ・リスト」を生み出した。

わたしの海をすすって 1996 2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(10分22秒)

 ウィーン応用美術学校でデザインと写真、バーゼルのデザイン学校でヴィデオを学んだ後、80年代後半よりテレビ番組やポピュラーカルチャーを取り入れた映像作品の制作を開始。86年に自身を撮影したカラーの短編ヴィデオ作品をスイスのゾロトゥルン映画祭に出品・受賞したことをきっかけに、ヴィデオ・アーティストとしての道を進むことになった。

 大きな転機となったのは98年のヴェネチア・ビエンナーレで発表され、若手作家優秀賞(プレミオ 2000)を受賞した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》と《わたしの海をすすって》。以降、ニューヨークのタイムズ・スクエアのマルチビジョンでの夜間投影や、ポンピドゥー・センター前広場への屋外投影、金沢21世紀美術館のトイレ内での作品設置など、映像展示の可能性を広げてきた。

永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に 1997 2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(4分9秒、8分25秒)
永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に 1997 2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(4分9秒、8分25秒) クンストハレ・チューリヒでの展示風景

 本展では、上述の《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》をはじめ、身体、女性、自然、エコロジーをテーマとした作品およそ40点を展示。自然と人間の共生をのびやかに謳う近年の大規模な映像プロジェクション、映像と家具が溶け合ったリビングルーム、リサイクル品を活用した屋外作品まで、約30年間の活動の全体像を本格的に紹介するものとなる(なお展示室内では靴を脱いで鑑賞することになるので、靴下と靴袋を持参するのが望ましい)。

わたしの草地に分け入って 2000 シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(9分52秒)
私の空間に明るみを 2008 シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/木製棚、LEDプロジェクター、本、ミニチュア模型ほか(7分27秒)
ヒップライト(またはおしりの悟り)  2011 古着、鋼線、LEDランプ/インスタレーション ルイジアナ近代美術館での展示風景 Photo by Poul Buchard Brøndum & Co.
マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る 2014 マルチチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(15分14秒) ハウザー&ワース、サマセットでの展示風景 Photo by Ken Adlard
箱根の静けさ 2020/21 シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/岩、ソファ、 壁面に投影(12分46秒) チューリヒ美術館での展示風景 Photo by Lena Huber
色とりどりの幽霊 2020/21 シングルチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/煙草の箱、 瓶ほか