2019.3.3

『サイボーグ009』『仮面ライダー』の生みの親。世田谷文学館で「萬画」家・石ノ森章太郎の仕事をたどる

『サイボーグ009』や『仮面ライダー』などのヒット作で知られるマンガ家、石ノ森章太郎の展覧会「萬画家・石ノ森章太郎展 ボクは、ダ・ビンチになりたかった」が、東京・世田谷文学館で開催される。本展は、その多様な作品だけでなく、教育や社会に関わりながら「萬画」家として活動した石ノ森の仕事を振り返る内容。会期は4月20日〜6月30日。

『動という名の静(死)サイボーグ 009』 ©石森プロ
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 数々のヒット作で知られるマンガ家・石ノ森章太郎の仕事を振り返る展覧会「萬画家・石ノ森章太郎展 ボクは、ダ・ビンチになりたかった」が、世田谷文学館で開催される。

 石ノ森章太郎は1938年生まれ。高校在学中、雑誌『漫画少年』の連載『二級天使』でデビューを果たす。卒業と同時に上京し、マンガ家としての生活をスタート。66年には『ミュータント・サブ』、『サイボーグ009』で第7回講談社児童まんが賞を受賞し、その後も多くの表彰を受けた。しかし98年、60歳でその生涯に幕を閉じる。

『サイボーグ009 暗殺者編』原稿 ©石森プロ

 石ノ森は『仮面ライダー』や『佐武と市捕物控』といったエンターテインメント作品で知られるいっぽう、『章太郎のファンタジーワールド ジュン』や『マンガ日本経済入門』では画期的なテーマにも挑戦し、万物を表現できるメディアとして「萬画」という概念を提唱した。

 石ノ森の「萬画宣言」は、「カルチャーに依存した、サブカルチャーとしての漫画」からの脱却を目指すもの。石ノ森は、手塚治虫らの築いた芸術としてのマンガのあり方をさらに進化させ、教育や文化、社会現象などに関わりながら、様々な事象を表現するマルチメディアとしての「萬画」を描いてみせた。

『人造人間キカイダー』 ©石森プロ

 後進育成のためのマンガ入門書やエッセイ刊行のほか、晩年は郷里で「マンガを活かした街づくり」に尽力するなど、教育者や作家、社会企業家としての側面もあわせ持つ石ノ森。本展は、そんな「世界一多作なマンガ家」の多様な活動をたどるとともに、その先見性に迫る試みとなっている。

『章太郎のファンタジーワールド ジュン』 ©石森プロ