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EXHIBITIONS

イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示

京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
2021.02.06 - 02.28

学術人類館(アイヌほか)(第五回内国勧業博覧会、1903) 小原真史蔵

ロラン・ボナパルト ブライト・アイ 1883 小原真史蔵

クラオ:ザ・ミッシング・リンク 1887 小原真史蔵

ジャルダン・ダクリマタシオン。若いアシャンティ人の一団 1903 小原真史蔵

フィリピン展(セントルイス万博、1904) 小原真史蔵

 KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 SPRINGの一環として、小原真史(キュレーター・映像作家)の企画による展覧会「イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」が開催される。

 19世紀末〜20世紀初頭の欧米では、「博覧会の時代」とも言える時代が訪れ、人々がモノの展示を通じて新たな世界認識を得ていた。「産業の祭典」として開催されていた万博は、植民地展示に代表されるような帝国主義のショーケースとしての役割を果たすようになり、展示では世界各地から集められたモノだけでなく、アジアやアフリカの人間も含まれ、現地の村をそのまま再現する「エスニック・ヴィレッジ」もつくられた。

 日本でも1903年の第五回内国勧業博覧会で植民地・台湾の展示が行われた。また、余興施設として「内地」周辺の「異民族」を展示する「学術人類館」が建てられ、この施設は、日本での将来的な万博開催を期して計画されたものだった。

 本展では、博覧会における日本初の人間の展示施設となった「学術人類館」の新発見写真を公開。世界各地で行われた同様の展示にも焦点を当てながら、同時代の他者表象の方法や人々の欲望の所在を探る。そして、万博が幻視させてきた明るい未来像の陰で見えにくくなっていた出来事や、グローバリズムが進む現代社会と地続きの諸問題を浮かび上がらせる試みともなる。

 本展企画者の小原真史は、1978年愛知県生まれ。監督作品に『カメラになった男 写真家中平卓馬』(2003)。2005年に「中平卓馬試論」で重森弘淹写真評論賞、2016年に第24回写真協会賞学芸賞を受賞。IZU PHOTO MUSEUM研究員として「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「宮崎学 自然の鉛筆」展などを担当。単著・共著に『時の宙吊り 生・写真・死』『富士幻景 近代日本と富士の病』『戦争と平和〈報道写真〉が伝えたかった日本』『森の探偵 無人カメラが捉えた日本の自然』がある。