EXHIBITIONS

特別展

小村雪岱スタイル

―江戸の粋から東京モダンへ

2021.02.06 - 04.18

小村雪岱 青柳 木版多色刷 1枚 1941(昭和16)頃 個人蔵

小村雪岱 月に美人 絹本着色 1幅 清水三年坂美術館蔵

泉鏡花 『愛染集』(表見返し) 装幀=小村雪岱 冊子 1冊 1916(大正5) 清水三年坂美術館蔵

小村雪岱 おせん 雨 木版 1枚 1941(昭和16)頃 清水三年坂美術館蔵

邦枝完二 『繪入草紙 おせん』(表紙) 装幀=小村雪岱 冊子 1冊 1934(昭和9) 清水三年坂美術館蔵

吉川英治 『遊戯菩薩』 第16回(『サンデー毎日』1935(昭和10)年9月15日掲載) 清水三年坂美術館蔵

 特別展「小村雪岱スタイル ―江戸の粋から東京モダンへ」が三井記念美術館で開催される。

 2020年に没後80年を迎えた小村雪岱(こむら・せったい、1887~1940)は、大正~昭和初期の商業美術の世界で時代を先導する足跡を残した「意匠の天才」。東京美術学校で培った日本画の技術を礎に、泉鏡花らが紡いだ言葉を鮮やかに彩る「装幀家」、江戸情緒を白黒の線画で大胆かつ可憐に表現する「小説挿絵画家」、そして役者からの信頼も厚い「舞台美術家」として多彩な活躍を見せた。

 また雪岱は、発足まもなかった資生堂の意匠部で商品や広告のデザインを担当。江戸の粋を受け止め、東京のモダンを体現した雪岱による斬新かつ繊細な作品の数々は、ひと目見るだけで人々を引き込む魅力を持ち合わせている。

 本展では、大衆文化が花開いた時代において、様々なジャンルに新風を吹き込んだ雪岱の作品を総合的に紹介。代表作の《月に美人》や《青柳》、《おせん 雨》をはじめ、泉鏡花の『日本橋』を含む装幀や挿絵、舞台装置画、貴重な肉筆画や版画などが揃う。

 また、雪岱の意匠の源流である鈴木春信の浮世絵や、並河靖之の七宝をはじめとする明治工芸の数々を通して、「江戸の粋」から「東京モダン」までの系譜を振り返る展示も用意。加えて、雪岱スタイルを継承する現代作家たちが、本展のために手がけた新作を合わせて展示する(会期中、一部展示替えあり)。