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翻訳できない わたしの言葉

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 東京都現代美術館で「翻訳できない わたしの言葉」が開催される。

 世界には様々な言語があり、ひとつの言語のなかにも、方言や世代・経験による語彙・文法の違いなど、無数の豊かなバリエーションがある。話す相手や場に応じて、仲間同士や家族だけで通じる言葉を使ったり、他言語を使ったりと、複数の言葉を使い分ける人もいる。言葉にしなくても伝わる思いもある。それらはすべて、個人のなかにこれまで蓄積されてきた経験の総体から生まれる「わたしの言葉」である。他言語を学ぶことでその言語を生み出した人々の文化や歴史に触れるように、誰かのことを知ることは、その人の「わたしの言葉」を、別の言葉に置き換えることなくそのまま受け取ろうとすることから始まるのかもしれない。

 本展では、ユニ・ホン・シャープ、マユンキキ、南雲麻衣、新井英夫、金仁淑の5人のアーティストの作品を紹介。彼らの作品は、みんなが同じ言語を話しているようにみえる社会に、異なる言語があることや、同じ言語のなかにある違いに、解像度を上げ目を凝らそうとするものである。

 会場では、鑑賞者一人ひとりが自分とは異なる誰かの「わたしの言葉」、そして自分自身の「わたしの言葉」を大切に思う機会を提示する。