EXHIBITIONS

生誕120年 安井仲治

安井仲治 (虫) 1938頃 個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

 愛知県美術館で 「生誕120年 安井仲治」が開催されている。

 日本の写真史において傑出した存在であった安井仲治(1903〜1942)。10代でカメラと出会った安井は、20代半ばには関西の写真シーンで一目置かれる存在となった。そして38歳の若さで病没するまで、旺盛な創作意欲をもって極めて多くの写真の技法、スタイルに取り組んだ。また、1920〜40年代という彼の活動時期は、都市文化が華やかに発展する一方で、国全体が長期にわたる戦争へとなだれ込む時代でもあった。そのさなかにあって安井は、変わり行く都会の風景や、そこに生きる人々、さらには不穏な世相をも身近な事物に託して、繊細に写し出した。

 本展は、戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査をもとに安井の活動をより実証的なかたちで描き出し、約200点の出展作品を通じて展覧するものとなっている。