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アルベルト・ジャコメッティ

Alberto Giacometti

 アルベルト・ジャコメッティは1901年スイス生まれの彫刻家・画家。イタリア・スタンパの小さな村で育つ。画家の父を持ち、幼い頃からデッサンを始めて、13歳のときには弟・ディエゴの胸像も手がけた。19年にジュネーヴの美術学校に入学し、その後、22年にパリへ移住。彫刻家のアントワーヌ・ブールデルに師事する。この頃、パブロ・ピカソ、マックス・エルンスト、ホアン・ミロらと交流。シュルレアリスムの影響を受けながら、動物の骨を連想させる、木やワイヤーからなる《午前4時の宮殿》(1932)などの彫刻作品を制作する。

 30年代よりシュルレアリスムと決別し、具像彫刻に回帰。見えるものを見える通りにかたちづくり、描かれたものの本質に迫ることを追求し、第二次世界大戦後の47年頃より、弟のディアゴや日本の哲学者・矢内原伊作などをモデルに試行錯誤を行う。そして、身体を細長く引き伸ばした新たなブロンズ彫刻を確立する。代表作に、人間とほぼ等身大の《歩く男Ⅰ》(1960)、妻・アネットをモデルに写実的な表現を加えた「ヴェネツィアの女」シリーズ(1953〜56)など。晩年は人物やアトリエ内の風景を対象とした絵画などの平面作品にも取り組んだ。66年没。